便通異常とは
便秘は排便が十分にされず、週に3回未満しか排便がない、便が硬い、排便が難しい、残便感がある場合に該当します。便秘や下痢、血便、残便感は人口の10~20%程存在し、いわゆる「便通異常」であるとされています。生活習慣やストレスが原因で起こる過敏性腸症候群、がんや炎症性腸疾患などの腸の病気、甲状腺疾患が原因として潜んでいる場合があります。当院は患者様一人ひとりに合わせた原因を調べた上で、治療を行います。
便がすっきり出ない原因
食物繊維不足・偏食・小食は、排便がスムーズにいかずすっきりしない原因となります。食物繊維が不足すると、排便の量が少なくなり滞留便が腸内に増えることになります。残便感が残る原因は、便が硬い、便意を感じにくい・排便する力が弱くなっていることにあります。
便が細い原因
細い便が出る原因には、以下の理由が挙げられます。
腸の一部が狭くなっている
大腸がん・大腸ポリープができている可能性がある場合、腸の一部が狭くなり便の通り道が細くなることがあります。さらに血便が出た場合は注意が必要であり、大腸がんと大腸ポリープの有無は大腸カメラ検査で発見することができます。
便が柔らかい
便が柔らかいと、下痢には該当せずとも排便するときに肛門が広がらないために細い便が出るようになります。下痢が一時的に起きた場合は、過度に心配する必要はありません。しかし、下痢が治まらない、下痢と便秘が繰り返し起きているときは、過敏性腸症候群などの疾患の可能性があります。
肛門が狭くなっている
切れ痔を起こすと、肛門が狭くなります。出血が少量であっても排便時・排便後に痛みを伴う場合には注意する必要があります。
便通異常で疑われる疾患
感染性腸炎
過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアと関係があるといわれている感染性腸炎は、食中毒や何かしらの病原性感染で感染性腸炎を発症し、これをきっかけに便通障害(慢性便秘・腹痛・下痢・腹部膨満感)を引き起こしている可能性があります。
潰瘍性大腸炎
明確な原因は不明ですが、大腸粘膜に炎症が起こり潰瘍ができます。この他に粘液便や血便、腹痛、下痢などの腹部症状が起きます。病気が発症・持続する原因として、環境要因である食事や腸内細菌、過剰な免疫機能が挙げられます。なお、遺伝性はないとされています。
クローン病
原因は解明されておらず、環境的要因である食事や腸内細菌、過剰な免疫機能により小腸・大腸の腸管に炎症・潰瘍が出来て腹痛や下痢などが起こります。食事は、脂質・糖質の過剰摂取やファーストフードと関係があり、喫煙は病気の発症・悪化させるため、禁煙を推進しています。痔ろうや肛門周囲膿瘍が初期症状にあり、受診する患者様のおよそ3分の1が初期に肛門病変があったとされています。
大腸がん
便秘と下痢を繰り返す、血便が出る、便が細くなった、腹部膨満感、腹痛などの症状が起きている場合、大腸がんを罹患している可能性があります。大腸カメラ検査で大腸がんであるかどうかを確認することができるため、症状があれば放置せずに早めにご相談ください。
直腸脱
直腸が肛門より脱出する病気であり、慢性便秘や残便感で強くいきみすぎた場合と、加齢が原因となって直腸の弛みや残便感が後から起こる場合があります。直腸の脱出しているレベルによって、手術方法が異なります。
切れ痔
細い便や出血、痛み、便秘で硬い便が出る、勢いのある下痢が原因で肛門の皮膚が切れることを切れ痔といいます。痔の傷口は治る過程で肛門が狭窄することがあり、慢性的な切れ痔の人に肛門狭窄が見られます。重症化した切れ痔では、肛門狭窄に伴い便の太さが1cm以下になることがありますが1~2回程度の痔であれば、そこまでにはなりません。重症化した場合、手術が必要になります。
更年期と便の細さ
加齢とともに排便に必要な筋力が衰えていき、便が出しづらくなります。女性の場合、更年期でエストロゲンが低下することで自律神経が乱れます。これにより、腸の機能が低下して便秘や下痢、残便感、便が細くなります。