アニサキスとは
寄生虫(線虫)の一種であるアニサキスは、幼虫(アニサキス幼虫)の場合長さ2~3cm、幅0.5~1mm程であり白色の太めの糸のような形をしています。主にアジ・イカ・イワシ・サバ・カツオ・サケ・サバ・サンマなどの魚介類に寄生しており、魚介類が死亡してから時間が経過すると内臓から筋肉へと移動します。
アニサキスがいない魚は?
アニサキスは、主にオキアミを捕食する魚に寄生し、宿主はオキアミに限られているためオキアミを捕食しない魚や捕食する状況にない魚に寄生しません。また、オキアミは海にのみ生息するため、アユ・イワナ・ニジマス・フナ・ワカサギなどの川魚や淡水魚は心配不要です。海にいる魚類以外のエビ・カニ・タコ・貝類もオキアミを捕食しないため、安心して食べられます。なお、イカの中でもアオリイカ・剣先イカ・コウイカ・紋甲イカは心配いりませんが、スルメイカだけはアニサキスが寄生します。スルメイカのワタを使用したイカの塩辛は注意しましょう。
アニサキスで食中毒?
アニサキス幼虫が寄生する生鮮魚介類は生の状態(冷凍が不十分、加熱が不十分なものも含みます)を誤って食べてしまうと胃壁・腸壁に刺入し、アニサキス症という食中毒にかかります。食中毒は急性胃アニサキス症と急性腸アニサキス症の2つに分類され、発症する患者様の多くは急性胃アニサキス症です。主な症状は、急性胃アニサキス症の場合は食後数時間後~十数時間後にみぞおちの激痛や悪心、嘔吐が現れ、急性腸アニサキス症は食後十数時間後~数日後に激しい下腹部痛や腹膜炎のような症状が現れます。激しい腹痛とアニサキス症による食中毒である可能性が高い場合、早急に医療機関を受診するようにしてください。
アニサキス冷凍すると良い?
アニサキス幼虫は、冷凍(-20℃で24時間以上)されている生鮮魚介類の場合であれば死んでいるため心配ありません。しかし、一般家庭の冷凍庫では-20℃の設定出ない場合がありますので、温度設定の確認が必要です。また、自家製の冷凍処理を行われていないシメサバは、アニサキス症の報告数が多いため、注意してください。シメサバを作るときは、早めに内臓・内臓周辺の筋肉を処理して冷凍すればアニサキス症への感染リスクが軽減できます。
アニサキス加熱すると良い?
加熱処理(中心部の温度が60℃で1分以上)することでアニサキス幼虫は死滅するため、鮮度が落ちた魚介類は加熱処理を十分に行いましょう。
アニサキスの診断
アニサキスは、胃カメラ検査で胃・十二指腸を観察し、発見した場合はその場で摘出することで確認できます。小腸で確認された場合は、レントゲン検査を行うことがあります。
アニサキスの治療
アニサキス症が疑われる場合、食事をしてから受診すると、胃の内容物があるために胃カメラ検査ができなくなりますので、絶食の上ご来院ください。胃カメラ検査では、内視鏡スコープの先端にある鉗子でアニサキスを処理します。アニサキスを放置することで、好酸球性肉芽腫を発症することがありますが、ほとんどの場合は数か月後に自然治癒するため、心配ありません。